ある日、ボクは免許更新の為に、バスで近くの教習所へ向かっていました。
すると、ある停留所でドギツイ香水の臭いを放つ女性がボクの前の席に座ってきました。
「うわー、くっせーなーこの人・・・早く降りてくれねぇかな・・・」とか思いつつ、ボクは必死に我慢していました。
でも結局、彼女が降りるより先に教習所に着いてしまって、ボクが先に降りる事になりました。
ボクは「あー、やっと開放される・・・」と思うと同時に、「なんで俺がこんな思いしないといけないんだ」と義憤に似た感情が込み上げてきたのを感じました。
時間にすれば15分ほどでしたが、ボクにとっては非常に苦痛な時間だったのです。
どうにかして鬱憤を晴らしてやりたいと考えたボクは、バスを降りる際に、その不快な臭いを撒き散らしているクソアマの面(ツラ)を一目拝んでやる事にしました。(ウトウトしていたので顔を見れてなかった)
「降りようとしたけど荷物忘れちゃったよー」みたいな体で、バスの通路を戻った時にチラ見する事にしたのです。
そしてチラ見は見事に成功しました。
ところがその顔を見て僕は衝撃を受けました。
もうびっくりするくらい可愛い。超マブい。綺麗。美人。女神。
婚約したい。
その瞬間、僕は全てを許しました。
むしろ感謝。圧倒的感謝です。
僕みたいなニートの前の席に座って頂いてありがとうございます。踏んで下さい。
不思議なもので、その事実に気づいたと同時に、その臭いがとても良い匂いに感じるようになりました。
そして、教習所に着いたボクは、満腔の謝意を全身に噛み締めながら免許を更新しましたとさ。
おしまい